不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第35章 旅館での朝
平野は10センチほど扉をあけると私たちの姿を確認し、一瞬、目を見開く。
「まぁ…分かってはいたけどさぁ~…生々しいな、おい(笑)」
と笑った。
瀬川くんも目をこすりながら笑う。
「そんなことより、あっちでまだほとんどの奴が寝てるけど…コウヘイが起きちゃって、瀬川どこ行った?って。とりあえず、風呂じゃね?ってごまかしといたから…あの、すぐ服を着て下さい…(笑)」
「ーんんっ…、わかった」
伸びをしながら、低い声で瀬川くんが答える。
「アンナもいる?」
私が聞くと、
「うん、昨日酔っ払って結局みんなでバタバタと雑魚寝。まだ寝てるよ♪じゃあ、あとでね!」
と言って平野は去っていった。
とりあえず浴衣を着ようと立ち上がると、膝に力が入らずよろけて瀬川くんに支えられる。
「……えっ?!」
一瞬、わけが分からず混乱した。
「え、じゃねえよ、大丈夫か?(笑)」
「いやっ、なんか膝が…へん…っ!」
瀬川くんがそっと手を離すと、やっぱりふらりとよろけて座り込んでしまう。
「えぇえ…なんでぇ…!」
「昨日、いじめすぎたかな(笑)」
瀬川くんはもうすっかりパンツも履いて、浴衣も羽織っていた。
「笑い事じゃないよぅ!力が入んないぃ~!」
私がぐずると、瀬川くんは笑いながらブラジャーを手渡す。私がそれを付けると浴衣を羽織らせてくれた。
「どれ、…立てるか?」
瀬川くんにつかまって立ち上がり、そっと歩いてみる。
「んん…なんとか歩ける…かなぁ?」
自信のない言葉を吐き出すと、彼はふわりと私を両腕で包みこむ。
彼のあたたかい素肌に頬ずりして、胸元にそっとキスをした。
私も彼の背中に手を回し抱きしめると、硬くなったものが当たる。
「…まだまだ若いな、俺も(笑)」
私もふふっと笑って、挨拶をするように瀬川くんのものを撫でた。
つい、”そういう”モードに入りそうになるが、そんな暇はない。
もう、みんなのもとへ行かなければならない。
…。
甘えるように彼を見ると、
「そんな顔すんな…。まだ今日が始まったばっかだぞ」
と、髪を撫でながら優しい微笑みをくれる。