不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第36章 反省会
「松」の部屋に戻ると、男子たちはおにぎりを頬張りながら私たちに目をやった。
昨夜の王様ゲームでのキスを気にしている者はいないようだった。
「アンナちゃん…大丈夫?(笑)」
平野が声をかけると、
「大丈夫じゃない!めっちゃ頭痛い!でも、おにぎり食べる~!」
アンナは二日酔いとは思えない元気な声で言うと、おにぎりを頬張った。
「昨日、ヤバかったもんね(笑)結局全員がチュウしたんじゃないの~(笑)」
平野が笑う。
「えっ、そうなの?まさかそんな事になってたなんて(笑)」
私が言うと瀬川くんもクスリと笑った。
みんな食べ終わると、「今日はなにかプランがあるの?」と綾香ちゃんが聞く。
「帰りがてらだと、ふれあい牧場とか。水族館でイルカのショー見ても良いし、どうする~?」
みんなでワイワイと盛り上がり、結局まずは牧場へ行くことになった。
旅館を後にして、私とアンナは来た時と同じように瀬川くんの車へ乗り込んだ。
牧場までは車で20分ほどで着き、平野を先頭に皆で中へ入る。
牛やヤギの他にも、うさぎやモルモットと触れ合うコーナーや馬に乗れる体験も出来るようだ。
自然にそれぞれが散り散りになり、アンナはうさぎのもとへ一目散に駆けてゆくので私もついていく事にした。
「あぁ~ん、可愛い~~ぃ」
ふざけた声を出しながらアンナがうさぎを撫でるところを、私も面白がりながら写真を撮ったりして楽しんだ。
その後も馬にニンジンをあげたり、乗馬体験をする同級生たちを見たりして、しばしアンナとの時間を過ごした。
売店で他の皆と合流すると、アイスクリームや搾りたてのミルクなどをそれぞれ堪能した。
「次、どうする?」という話になり、「もう昼かぁ~。飯食う?」と平野が提案する。
さらに車で30分ほど移動し、和食を食べた。
その後は帰りつつサービスエリアにある観覧車に乗ったり、道の駅に寄ったりして17時頃には地元の駅へ到着した。