不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第38章 ウイスキーの香り
ウイスキーの残り香とチョコレートを分け合うかのようにいやらしく、焦らすようにゆっくりとしたその接吻は私の全身の力を奪った。
彼は唇を離すと、くったりとベッドに寄り掛かる私の手を取る。
「シャワー、あっち。狭いけど一緒に入ろう」
「離れに、シャワーがあるの?」
「湯船はないけどね、シャワーだけ。」
瀬川くんについていくと、こぢんまりとしたシャワールームがあった。
彼は私のシャツのボタンを優しい手付きでひとつずつ外していく。
居酒屋でのコウヘイくんとの出来事が蘇り、一瞬、嫌な動悸がする。
瀬川くんはそれに気付いたのか、私の頬を大きな手でそっと包み込んでチュッとキスをした。
「俺、あの時すぐ行けばよかった。ごめん…怖かった?」
「力が、すごく強くて…。怖かった」
彼はきつく私を抱きしめた。
「…俺が全部、綺麗にする。良い?」
私は頷いた。
狭いシャワールームに2人で入り、ほとんど抱き合うように密着しながら私は彼に身を委ねた。
ボディーソープをつけた手のひらで身体の隅々まで撫でられ、時折キスをした。
その甘い甘いシャワータイムに、私の脳内は多幸感でいっぱいだった。
するすると滑らかに移動する彼の手が、乳首を撫でる。
「んはぁっ……」
とっさに卑猥な吐息が漏れてしまい、私は慌てて指を噛んでごまかした。
首や脇を撫でていたかと思うと、その手はまた乳房に戻ってくる。
深く舌を絡ませながらその敏感な乳首の先をぬるりと撫でられ、私は立っていられない。
膝をつくと、硬くなった瀬川くんのものが顔に近い。
そそり立つ肉棒を目にすると私はもう我慢が出来ず、それに触れた。
見上げると瀬川くんは微笑みながら、私の髪を愛おしそうに撫でる。
先端を口に含むと、ピクリと反応が返ってくる。
「んっ……」
裏側を根本からゆっくり舐め上げて先端を優しく吸うと、シャワールームの中にチュク…ッといやらしい音が響いた。
壁に寄り掛かるように立っていた瀬川くんが私の腕を引き、私も立ち上がる。
彼はシャワーで私の身体を流しながら首筋にキスをして、「…あっちで続きしよう」と囁いた。