不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第39章 互いの痕
私たちは裸のままじゃれ合い、沢山キスをした。
時計はもう23時を指していたが、今この時間が終わってしまうことが惜しくて時間の話はしなかった。
「そういえば、これ…」
私は瀬川くんの胸元についたキスマークを撫でながら言った。
「ん?」
「コウヘイくんに知られちゃったんだよね?」
「あぁ、風呂でね(笑)」
「ごめんね、ほんとに…。酔ってたとはいえ、…あぁ、恥ずかしい」
「謝られるとつらいんだけど?(笑)良い歳して、ちょっと嬉しかったりして」
「ふふっ。まさか30過ぎてキスマークなんて付けられると思ってなかった?」
「そりゃね。…お前も思ってなかったでしょ?」
「…え?」
瀬川くんは私の胸に顔をうずめ、谷間をぺろりと舐めた。
「俺も付けていい?」
いたずらに笑う彼は少年のようだった。
私が笑うと瀬川くんはそのまま私の胸元に吸い付き、最後にまたぺろっと舐めた。
そこにはほんのり赤い瀬川くんの痕がついた。
私たちは寄り添い合うように布団に入り、深夜の映画番組を流しながらいつの間にか眠りについた。
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翌朝、ふと目が覚めると隣に瀬川くんはいない。時刻は7時。
こんな時間からどこへ行ったのだろう。
ゴミ箱には昨夜の名残が丸めて捨てられ、そういえば…と自分に付いた赤い斑を確認した。
指でなぞると、瀬川くんの唇の熱がそこに残っているかのように感じ、鼓動が早まる。
ザクザクと外の砂利を踏む音がして、緊張しながら固まっているとガチャリと扉が開いた。
瀬川くんは私を見ると「おはよ。もう起きたんだ?」と言いながら部屋に入る。
「おはよう。瀬川くんこそ早いね」
自分だけ裸でいることが無性に恥ずかしくなり、私は布団に潜り込んだまま答えた。
「ちょっと走ってきた」
彼はベッドに腰をおろし、布団を少しめくると私にキスをした。
「ふふっ。なんか…カップルみたい」
私はとっさに出てしまった自分の言葉に焦り、
「あっ、変な意味じゃなくて…なんとなく…」
そう言うと瀬川くんは、布団ごと私を強く抱きしめた。
「瀬川くん、あったかぁい…」
しばらくぎゅっと抱き合った後で、彼は腕を離して私をジッと見つめた。