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不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―

第40章 汽車



「どうしても伝えたいから、…一度だけ言わせて」


「…うん…?」


「…愛してる」




なおも私を見つめる瀬川くんは、どこか悲しそうにも見える。


私の目から一筋の涙がつたい、彼の顔が滲む。


それを指でぬぐいながら「なんで泣くの」と彼は言い、私はどんどん溢れてくる涙を止められなかった。



瀬川くんはせつなげに笑うと、何度も私の頬に優しくキスをした。



「俺、できるならお前の全部を守りたいし…なんでもあげたい。でも今はまだそれが出来ないし…お前の事情もあるから…。でも、この気持ちだけ分かっててほしい」



私は何度も頷き、抱擁をせがんだ。


瀬川くんは私をふわりと包み込むと、いつもそうしてくれるように背中をポンポンと優しく叩いた。




私はもう、彼なしでは生きてゆけないのかもしれない。

そう思わせるほど、私は瀬川くんに溺れていた。


あたたかい朝陽に心地よくなり、私たちは少しだけ眠った。

こんなに幸せな朝寝は初めてだった。



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その日私たちは小洒落たカフェテラスで早めのランチをして、昼過ぎには私の家の最寄り駅で別れた。


瀬川くんはこれから自分のアパートに戻らなければいけないし、私も仕事がある。


この時間に帰宅するのは珍しい。けれど今日は月曜日で、フミは仕事でいない。




…しかし、玄関のわきにフミの車が停まっているのを見て、動悸がした。


怪しまれるだろうか。

いや、フミはもう何年も前から私に興味を示していない。



緊張を押し返すようにドアを開け、リビングへ向かうとフミは寝転びながらテレビを見ていた。

どうでも良さそうに私の方をチラッと見たが、目を合わせることはなかった。




「……休み?」


「うん」



挨拶は交わさず、それだけ話すと私はさっさと仕事部屋に行って着替えをした。

一言だけとはいえ、4ヶ月ぶりに会話をした。



夕方過ぎまで仕事をすると、夕飯を作らなければと言う義務感で私はリビングへ降りた。


買い物に行っていなくて材料がほとんどなく、フミがパスタをあまり好きではないことは分かっているが、仕方なく私はナポリタンを作った。


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