不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第5章 空想の恋
ミノル君は同級生で、高校生の頃に奈美と付き合っていた。サッカーが上手で、女の子からもモテていた。
「あーっ!そうだね!ミノル君も来るのかぁ。どんな顔して会うのか私も楽しみだわ(笑)」
「ちょっとやめてよぉ(笑)ミノルももう結婚してるし、なにも期待してないんだから。…ただ、なんだか昔に戻ったみたいにワクワクするよ」
「うん、私も。
それにしてもなんであの頃はコウヘイ君が好きだったのに、今は瀬川くんにこだわっちゃうのか…自分でも分かんない」
ピザを食べ終わってフキンで口を拭いた奈美は、わざとちょっと低いトーンでこう言う。
「空想の恋、だね。」
「空想の恋…?なにそれ(笑)」
「だってさ、瀬川くんとミライはもう何年も会ってないよね?そのうちに当時の思い出と妄想をごちゃ混ぜにして、架空の恋をしちゃってるんだよ。きっと!」
「…………まぁ、…一理、ある…」
「あれぇ?素直じゃないですか。
でもね、そういうのは会ってみるとなんか違ったりして、冷めちゃうものだよ。たぶんね(笑)」
「あはは。そうかもね(笑)
まぁとにかく私は、久しぶりにみんなで集まれるのが嬉しいよ。」
ーー私はなにも期待していない。
久しぶりに会えればそれでいいんだ。
うん、そうだ。
「そういえば、事前にバラ組で集まるときはケイが来れるかもって言ってたよね。」
「そうだね!久しぶりだよねぇ。奈美はその日おそくまで大丈夫なの?」
「うん、お母さんにも伝えてあるし、恭介ももう離乳食たべてるし、大丈夫!
ほんとに手がかからないんだよ。親思いの良い子を産んだわぁ…」
「アハハハ(笑)
よ〜し、じゃあ同窓会ではパーっと盛り上がれるね!」