不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第6章 再会
"そういうのは会ってみるとなんか違ったりして、冷めちゃうものだよ。"
奈美の言葉が頭の中でぐるぐる回る。
そうだよね。
こんなの、ひとときのただの妄想なんだから。
そう、空想の恋。
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駅前を早足で進む。
「19時スタートで2時間だから21時までだよね……で、そこから二次会だとして…」
都会ではないためバスの終電が早いし、飲み会が長引いたり、酔っ払ってしまったら…
なんていうことも心配で、今回はビジネスホテルを予約しておいたのだ。
デザインの打ち合わせで県外に行くことも珍しくはないし、フミもそれに対して何も言わない。
ビジネスホテルの予約も慣れたものだ。
チェックインをして、シングルルームに入る。
時間はもう16時を回っていた。
鏡の前でささっと化粧と髪を直し、気に入っている赤めのリップを塗って早足で部屋を出る。
バラ組で待ち合わせ予定のアップルに向かう途中、同級生のグループチャットが鳴った。
平野からだ。
[参加される皆さん、今日はよろしくお願いします!
場所は先日送ったカジュアルバーになりますが、分からない方は駅まで迎えに行きますので連絡ください。]
本当にマメな男。
アンナが言っていた通り、幹事にぴったりだ。