不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第7章 視線
ダーツバーに到着すると、すこし薄暗い店内にところどころ暖色のスポットライトが当たっている。
長いカウンター席しかなく、広いフロアの壁はダーツマシンで埋まっている。
足の長い丸テーブルがいくつか置かれていて、ダーツをする人はそこにお酒やタバコを置いているようだ。
「90分飲み放題、ダーツ投げ放題でーす!」
平野の合図と共に、みんなはさっそくダーツを始めたりお酒を注文する。
人数は15人くらい居そうだ。
カウンターの椅子に上着をかけて腰掛けると、当たり前のように瀬川くんとコウヘイ君は私の両側の椅子を引く。
「え?緊張するから真ん中いやなんだけど!(笑)」
「いや、こういうときは女の子が真ん中でしょ!ねぇ瀬川?」
「だな。」
「なにそれ(笑)っていうか女の”子”って歳でもないですけど。なんかごめん(笑)」
私がそう言ってすぐ、ダーツをしていた同級生からコウヘイ君が呼ばれる。
「あぁ~”女の子”との楽しい時間がぁ~!」
女の子、を強調しながらコウヘイ君は誰かに引っ張られ去っていく。
「なにあれぇ~。いやみですかー?(笑)」
私がおちゃらけて言うと、瀬川くんはクスクス笑いながらドリンクメニューを渡してくれる。
「…ハイボールにしよっと!瀬川くんは?」
「じゃあ俺も。 すいません、ハイボール2つ」
注文を終えると、ひとときの無言な時間。
前を向いていた瀬川くんが、ほおずえをつきながらゆっくり私を見る。その目はとっても優しかった。
「私生活はどうなの?」
おだやかな口調で聞かれ、私は一瞬の間黙ってしまう。