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不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―

第8章 隠し事



お店を出る前にトイレを済ませようと、私は席を立つ。



戻るとアンナは起きていて、

「彼氏くんがねぇ~、迎えに来るのぉ~~」

と、ご機嫌そうに話す。


すごく酔っ払っていて一人では歩けないアンナを抱えながら立ち上がる。




…あっ!お金!


「平野~!私お金まだ…」


「え?もうもらってるよ~!」



私、お金払ったかな?
いや・・・払ってないよね?あれ?


脳内で確認しながら、とりあえずアンナを抱えてお店の外に向かうと、瀬川くんがドアをあけてくれる。



外には黒いSUVが停まっていて、1人の若い男の子が立っていた。

私たちを見つけると、「アンナちゃん!」と言って駆け寄ってくる。



「もしかしてアンナの彼氏くん?」
と聞くと、男の子はハイ!と元気に返事をする。



「アンナ!ほら、彼氏くん来てくれたよ」


アンナは少しだけ目を開けると、彼氏に抱きついて甘える。


なんとか助手席に乗せられると、窓をあけてこちらに手を振った。


「ミライ~!楽しかったぁ~!!
またね~!!」



私たちにきちんと挨拶をしてから彼氏も車に乗り込み、2人は帰っていった。





「…嵐が去ったな。(笑)」


一緒にアンナの乗る車の後ろ姿を見送りながら、瀬川くんがつぶやく。


「ほんと(笑)調子いいんだから。でも良かった、彼氏くん来てくれて」



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