不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第8章 隠し事
持ち物を取りに店内に戻ると、平野やコウヘイ君たちが何やら盛り上がっている。
「なになに?どうしたの?」
「あ、ミライちゃん!アンナちゃん無事だった?あのさ、次は同級生みんなで旅行に行きたいって話なんだけど、温泉とかキャンプとかもうみんな好き勝手言うんだよ〜(笑)」
平野が説明すると、その隣でコウヘイ君が
「絶対キャンプっしょ!」
と燃えている。
「え~、温泉がいいよ」とか、「朝までハシゴ酒しようぜ!」なんて声がわいわい飛び交う。
「ちなみにミライちゃんはどんなのがいい?」
平野に聞かれて想像してみる。
キャンプならみんなでお料理したり出来るし…と、バラ組のみんなを思い浮かべる。
「う~ん…キャンプかな?みんなで作ったもの外で食べるの楽しそう!」
と答えると、コウヘイ君はよっしゃあといった感じでガッツポーズをする。
「じゃあ…キャンプ……行っちゃう?!!」
平野がその場を煽るように言うと、ワーワーとみんなが賛成した。
もし実現しなくても、そうやって盛り上がれるのが嬉しかった。
店を出て挨拶を交わし、だんだんとみんなが散り散りになっていく。
最後に平野と別れると、残るは瀬川くんと私だけだった。
「…そうだ!瀬川くん、もしかして私の分のお金出してくれた?」
「あぁ、ついでに払ったかも」
「かもって何?(笑)ごめんね、今払う!」
バッグをあけようとする私の腕を、瀬川くんがぐいっと引き寄せる。
「…え?」
至近距離で私をじっと見つめる瀬川くんに、戸惑いが隠せない。