不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第2章 同窓会の知らせ
今は10月だから、同窓会までは約1ヶ月ある。
紗奈の家から帰宅して、夕飯の準備をしながら"なにを着て行こうか"とか、"美容院に行こうかな"とか、今からいろいろ考えてしまう私は一体何歳なんだろう…。
ーーガチャッ
…フミが帰ってきた。
「おかえり」
「ただいま」
いつもどおりの、形どおりの挨拶を交わす。
私たちは結婚して5年。
ちゃんと数えてはいないけど、少なくとも2年はスキンシップを取っていない。
仲が悪いわけではないのだけど、仲良しか?と言われればそういうわけでもない。
今さらラブラブな2人に戻りたいとか、女として見て欲しいとか、そういうことは思わなくなった。
仕事をして、帰宅して、夕飯の支度をして、少ない会話をして、眠る。
---それが私たちの、当たり前の日常。
フミは仕事から帰るなり、ソファでだらしなくうなだれながら携帯ゲームをしている。いつもの事だ。
私は夕飯の支度の続きをしながら、また同窓会についての思いを巡らせる。
あの頃、一緒に青春を過ごしたみんなとまた集まれる。
30歳になったみんなは、どんなだろう。
ーピコン!
アンナからのメッセージだ。
[来週の金曜日、そっちに用事があるんだけどミライ時間ある?お茶でもしよ〜よ〜(*^_^*)]
私はフリーランスでデザイナーをしている。それ故に自由な時間は結構多いのだ。
[もちろーん!ランチでも行こうか!]
私の顔はほころんでいた。
フミは相変わらず私には興味がないようで、携帯をいじりながらひざを掻いている。
「ごはん。」
「ほーい。」
こっちを見ることもなく返事をするフミに対して、もうなにも思わなくなってどれくらい経つだろう。