不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第3章 アンナ、おめでとう
金曜日の11時、私はアンナと待ち合わせていた。
会うのは2ヶ月ぶりだ。
「ミライ、久しぶりぃ〜!元気してた?もう私お腹ぺこぺこだよ〜」
明るくていつもニコニコしているアンナは2年前に大好きな祖父を亡くし、落ち込んでかなり痩せてしまった。
でもなんだか今日は顔色も良くて、少しふっくらした気もする。
「久しぶり〜!アップル行こう!」
"アップル"は昔ながらの喫茶店で、私たちバラ組もよく利用するお店。
「私アップルのナポリタン大好きだからね!」
何十回も聞いているアンナのセリフを今回も聞けて、なんだか安心感が込み上げる。
「もうそれ定番の決まり文句だね(笑)」
大人になるにつれてみんなそれぞれ仕事や私生活で忙しくなり、なかなか全員で集まれるタイミングは無い。
そんな中でも、こうしてバラ組のメンバーとちょこちょこ会えるのはやっぱり嬉しい。
「もう全然みんなで集まってないもんねぇ。」
アンナが口を尖らせる。
「う〜ん、そうだよね。でも仕方ないよね…みんな忙しいし?」
「そうだけどね。ケイなんて私もう1年くらい会ってないよぉ」
「私もだよ。なんか忙しくお母ちゃんしてるよね!
娘がバレー始めたってね。毎週練習とか応援で大変そうだねぇ」
「そういえばそろそろ紗奈の赤ちゃん、性別わかったかな??」
そんな近況話をしながらアップルへ向かう。
秋晴れの今日はとっても気分が良い。