不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第11章 打ち合わせ
5人が揃って、あらためて乾杯をする。
「早速だけど、今回は偵察というか下見ということで、
急だけど年内に一度行きたいんだよね。で、よさげなら4月くらい? 春になったら本番ってな感じ」
平野が言うと、
「じゃあみんなは呼ばないの?」
と綾香ちゃんが聞く。
「一応グループチャットで告知はするけど、急だしね…。家族とか子供の問題でなかなか来れる人も少なそうだし、有志だけで気楽にって感じでどうかな?」
「いいんじゃない?」
コウヘイ君がビールをぐびぐび飲みながら言う。
「で、場所なんだけど。あんまり遠すぎても移動が大変だし、県内の田舎の山の方でさ」
平野はそう言いながら、プリントしてきたと思われる用紙を広げる。
ピックアップされたキャンプ場は3つあった。
すぐにコウヘイくんが
「ここ、良いじゃん!」
と言ってアスレチックのあるキャンプ場の紙を指差す。
「アハハ、コウヘイ君、少年みたいで可愛いね」
綾香ちゃんが言うと、コウヘイ君は調子が狂ったのかスッと黙る。
みんなでそれぞれのキャンプ場を見ていると、
「まぁ子供には良いけどね、アスレチックも。女子的にはどうなの?」
と瀬川くんが私に視線を向ける。
「うーん……炊事場とかトイレの場所考えるとココかなぁ。近くに小川もあるみたいだし、誰かが子供つれてきてもそこで遊べるかも」
「なるほどねぇ」
平野がつぶやくと、
「確かに、おトイレは近くにあったほうがいいなぁ」
と綾香ちゃんが言う。
「じゃあ、ここにしてみますか!みんなどう?」
平野の問いかけに、みんな異論は無いようだった。
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その後日程の調整をして、決定事項はまとまった。
打ち合わせという名目ではあるものの、案外すぐに決まってしまった。
同窓会の時のようにみんなで談笑が始まり、お酒も進む。
特に綾香ちゃんはお酒に弱いようで、顔を赤くしてニコニコしている。
「綾香ちゃん…可愛いなぁ…」
ビールジョッキを持ちながら私がつぶやくように言うと、
「え~、ミライちゃんにそんなこと言われるなんて嬉しい!」と彼女ははしゃぐ。
「綾香ちゃんって中学の時から、ふわふわしてたよね~!」
と平野が喋りだした頃、私はトイレに行きたくなって席を立った。