不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第11章 打ち合わせ
それにしても、綾香ちゃんは酔っているせいかコウヘイ君への甘え方がすごく積極的で可愛いなぁ…。
私は自分の性格と比べ、可愛らしい綾香ちゃんに尊敬にも近い念を抱いていた。
私もあんなふうに瀬川くんに甘えられたら良いのにな…
トイレを済ませ席に戻ろうとすると、狭い通路でコウヘイ君と鉢合わせた。
「あっ」
立ち止まるコウヘイ君に、私も自然に立ち止まってしまう。
「あぁ…疲れた(笑)綾香ちゃんすごい酔ってる…」
「アハハ!でも可愛いじゃん、見ててほっこりするよ」
コウヘイ君は数秒間私を見つめ、
「あぁいうタイプ、苦手なんだよね。」
と言いながら少しずつ私に近づいてくる…。
なんだか変な雰囲気…?と思い歩き出そうとすると、コウヘイ君に道を塞がれてしまう。
「俺、ミライちゃんみたいな子がいい」
ゆっくりと、でも確実に近づいてくるコウヘイ君の顔。
私がつい、うつむいてしまうと顔を覗き込むようにコウヘイ君が背を曲げる。
「…照れてる?可愛い」
そう言われると私は瀬川くんに対する恥ずかしさとは別の意味で、耳まで熱くなってしまう。
足音がして、ふと見るとそこには瀬川くんが立っていた。
それに気付いたコウヘイ君は、平然と腰を曲げたままゆっくり瀬川くんの方を見る。
「……あの子、お前の事すげえ呼んでるけど」
綾香ちゃんが呼んでいると伝えると、コウヘイ君はめんどくさそうに顔をおどけさせ席へ戻っていく。
2人だけになり、瀬川くんに見つめられる。
私は吸い込まれそうになりながら見つめ返す。
「何話してたか、聞かないほうがいい?」