不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第11章 打ち合わせ
「そ、そんな事ないよっ…?というか、ほとんどなにも話してないよ…」
また少しの沈黙。
コウヘイ君とはなにも無かったのに、なんだか複雑な気持ちになる。
「まぁお前は…コウヘイのこと好きだったもんな。
俺には何も口出す権利ない。」
そう言って瀬川くんはトイレへと歩き出してしまう。
「どうしてそんなこと言うの」
と腕を掴むと、振り返って私をじっと見る。
「瀬川くん……会いたかった」
恥ずかしさより先に、どうしても伝えたかった。
私はコウヘイ君じゃなくて、瀬川くんが…
見つめ合い、どちらからともなくキスをした。
同窓会の夜と同じように唇を優しく吸い上げられると、私は確かに瀬川くんの唇をもう知っていた。あの夜のことは夢ではなかったんだ。
瀬川くんは私の腰を強く引いて、熱のこもったキスを続ける。
冷たいお酒で冷えた唇が、みるみる熱を帯びていく…
私の下半身が震えだす頃、そっと唇を離し言う。
「ごめん、俺かなり幼稚だよな。……俺も会いたかった。」
私の頭を大きな手で包み込んで抱き寄せると、席の方から綾香ちゃんの声が聞こえて来る。
コウヘイ君に甘えているようだ。
「俺あとで戻るから、先戻りな」
優しく促され、私はコクンと頷いて別れた。
できるだけ平然を装って席に戻ると、綾香ちゃんは更に酔っ払った様子でコウヘイ君にボディタッチしている。
隣では平野が苦笑いで私に「おかえり~」と言う。
コウヘイ君は綾香ちゃんのボディタッチを無視して、
「遅かったね」
と意味深に投げかける。