不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第3章 アンナ、おめでとう
アップルに到着して、マスターに軽い挨拶をしながら窓際のテーブル席に座る。
ここは私たちバラ組の特等席。
「ほぉ、今日はミライとアンナか。いらっしゃい。」
白い口ひげを生やしたマスターがテーブルにメニューを置きながら言う。
私とアンナは上着を脱ぎながら、マスターと笑顔を交わす。
「アンナはまたナポリタン?」
ゆったりとした口調で少し笑いながら言うマスターに、アンナは元気よく答える。
「そのとーりっ!!」
アハハハ…—!
みんなで一笑いしたところで、私もメニューに目を落とす。
「私は…納豆スパにしようかな!」
するとアンナがすかさず
「このあとデートとかはなさそうだね。」と言う。
「あるわけないでしょ〜。好きなだけクサイもん食べるわい!」
またケラケラと笑いが起きて、マスターは奥に戻っていく。
「ねぇ、同窓会!たのしみだね!」
アンナに言われ、私は早くその話をしたかったことがバレないように一息ついてから答える。
「うんうん。何人ぐらい来るのかなぁ?」
「どうだろうね。平野はなんだか気合いが入ってるよね(笑)幹事向き〜!」
学生の頃、平野は特に目立つ存在ではなかった。
数年前に突然グループチャットで人を集め、また同級生の交流が始まった。