不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第12章 関係のないクリスマス?
打ち合わせから2週間以上が経ち、明日はクリスマス。
…私には関係ないんだけど。
イベント行事にも全くの無関心であるフミは、クリスマスという単語さえも知らないのではないかと思うほどに、今年も通常モードで過ごしている。
8年くらい前だろうか…まだ若々しいカップルだったあの頃に私がねだって買ってくれたリングは、今はもう色あせてアクセサリーボックスの中で眠っている。
それまでもそれからも、プレゼントというものは貰ったことがない。
(べつに、トクベツ欲しいわけでもないけれど。)
---…そんな事を考えながら、今日も自宅で仕事をこなす。
外にはときどき乾いた風がびゅうと吹き、すっかり越冬の準備をした寒々しい木々たちが揺れる。
私はお手製のチャイティーを口に含みながら、先週アップルで紗奈とランチをした時の事を思い出す。
瀬川くんとキスしてしまった事を、まだ奈美とケイしか知らなかった。
隠し事をしているような感覚に落ち着かず、結局アップルに到着してからわりとすぐに紗奈にも打ち明けたのであった。
紗奈は大声で驚いていたが、すぐに落ち着きを取り戻し
「…まぁ私には、なにも言ってやれない」
と神妙な面持ちで言葉を吐き出すと、ホットミルクを飲む。