不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第12章 関係のないクリスマス?
ドアの外はシーンと無機質に冷えている。
「もしもし?」
「もしもし、お疲れさま!」
「相棒と楽しく過ごしてるとこごめん、ちょっとだけ」
「ううん、大丈夫だよ。まだまだ夜は長いし(笑)」
私はその場にしゃがみ、ドアにより掛かる。
「お前さ、プレゼント何が欲しいの?」
「えっ…?本気にしてくれたの?(笑)」
「あぁ、いらないの?じゃあいいけど」
「いや!いるいるいる!いります!」
「なんだよ(笑)何が欲しいの?」
「えっとねぇ……」
瀬川くんは、私に会えればそれでいいと言っていた。
私は、何が欲しいかな…
「…んー…。もう1回、…」
「ん?なに…?」
「もう1回、ぎゅって…してほしいかな…」
自分で言ってから急に恥ずかしくなる。
良い歳して、何を言っているんだろう。
ごまかすように
「って、これもしかしてすごくキモチワルイ?!(笑)」
と笑うと、瀬川くんもクスッと笑っている。
「ピアスとかネックレスとか言うのかと思ったら…
お前それ本当ずるい(笑)」
「ご、ごめんっ!!じゃぁ、えっと…」
「いや、もう取り消せません(笑)喜んで。」
雪が降りそうな寒さに、息が白く染まる。
「瀬川くん………。」
「ん?」
「ううん。…キャンプ、もうすぐだね!」
「そうだな。さむいぞ~。暖かくして来いよ。
っていうかお前いま外にいる?
もう電話切るわ。
付き合わせてごめん。」
「大丈夫だよぉ!
でも…うん、紗奈が待ってるしそろそろ戻ろうかな。
楽しみにしてるね、サンタさん!(笑)」
「こちらこそ(笑)」
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瀬川くんとの電話を切って玄関に入ると、指先がキンキンに冷えて凍えていた。
「おかえり~。仲がよろしいですこと」
紗奈がお局風に言う。
「いや、あの…キャンプもうすぐだねって話をね!?」
「はいはい、落ち着いて(笑)
でも確かに、あと数日でもうキャンプかぁ。」
「寒いからね、紗奈、靴下たくさん履きなよ?」
「気持ちはありがたいけど、2枚が限界じゃない?(笑)」
私たちは夜遅くまで、人生の隅から隅まで、すべてを確認するようにたくさんおしゃべりをした。