不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第16章 埋められない溝
ふたたび目が覚めると、周囲はぼんやりと薄明るくなっていた。
瀬川くんとシュウトの間で眠っていた私は、2人を起こさぬようそっとブランケットから抜け出すとテントの外へ出てみる。まだ陽は出ていないものの、朝が来る前の静けさとキンと冷える空気が充満していた。
紗奈の様子を見にもう片方のテントを覗くと彼女はすでに起きていて、「おはよ」とあくびをしている。
「おはよ~、なんか温かいもの飲みたいね。炊事場いく?」
「そだね!…いやぁ、マジで寒いねぇ~」
お湯を沸かしてハーブティを淹れると、私たちの吐く息よりも白い湯気が立ち上がる。私はふんわりと大きく漂っては消えていくそれを見つめていた。
ぽつぽつと起き始める仲間たちがやって来ると、いつの間にか朝陽が差し込んでいる。
朝食に昨日私たちが作ったカレーをみんなで食べ始めるとすぐに、
「うまいっしょ?!俺が作ったカレー♪」
自慢気にコウヘイ君が言う。
「あんたはニンジン切っただけだけどね(笑)」
と紗奈が笑い、みんなも笑う。
------
「みんな、参加してくれてありがとう!次は春頃にまたここへ来たいと考えてたんですけど、夏でも面白そうっすね。また告知しますので、よろしくです!では…帰りは車ごとに自由解散ということで。皆様、よいお年を!」
平野が挨拶し、みんなで年末の挨拶を交わすとそれぞれが車に乗り込む。