不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第17章 学校訪問
お正月に瀬川くんからイベントの話をきいてから、2週間と少しが経った。
今日は挨拶と打ち合わせのため、瀬川くんの働く中学校へ訪問する事になっている。
電車の窓から見える景色が、だんだんと田舎の風景に移り変わっていく。地元よりもっともっと緑の多いその景色に心を和ませ始めた頃、約束の駅に到着した。時刻は13時をまわっていた。
改札を出ると、人がほとんどいない送迎レーンで瀬川くんが車のそばに立って手を上げている。
駆け寄って笑顔を交わすと、
「お疲れさん。遠くて大変だったろ」
と言いながら優しいまなざしで私を見る。
メッセージや電話でのやりとりはあったものの、会えるのは年末のキャンプ以来だ。
「ううん、全然平気!それより…」
上下セットの黒いウインドブレーカーを纏い、運動靴を履いた瀬川くんの姿が新鮮だ。
「ほんと、体育の先生って感じだね!」
「ごめん、学校からそのまま迎えに来たから(笑)そうそう、こっちは標高も高くて街より冷えるから…」
そう言いながら、後部座席から薄手のダウンジャケットを引っ張る。
「これ上に着てけ。」
少し雑に渡され、「…ありがとう」と言って羽織ると車は発進した。
「…おっきいなぁ(笑)」
手が隠れてしまうほどサイズが大きいダウンジャケットに笑うと、
「お前チビだからな(笑)」
と瀬川くんも笑った。