不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第17章 学校訪問
学校に到着すると、それは私が想像したよりもずっと古い木造の建物だった。
瀬川くんに案内され、職員室に向かうと玄関で1人のおじいさんが待っていた。その表情は七福神の一員であるかのように優しく、白髪頭に白ひげを生やしている。
「瀬川先生、おかえりなさい。どうも、学校長の三枝(さえぐさ)です。この度はよろしくお願いします。」
ゆっくりと穏やかな口調で言うと私にお辞儀する。私もあわてて挨拶をする。
「遠かったでしょう。なにもない田舎ですけれど、ここはとても良いところなんですよ。ふふふ…それにしても、瀬川先生のお友達にこんな可愛らしい方がいらっしゃるなんてねぇ。」
職員室へ向けて3人で歩き出す。
「瀬川先生は生徒にも親御さんにも大変人気なんです。いつもとても誠実で、責任感も強くてね…」
「校長、お世辞はそのへんに」
「ハハハ、本当のことですよ」
…いつも誠実な瀬川くんがあんなにいやらしいキスをするなんて、校長先生は知る由もない。
私はつい瀬川くんの唇に見とれてしまう。
”どうした?”と目で合図され、我に返る。