不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第18章 拒絶
瀬川くんの車に乗り込み、無言のまま道を進んでいく。
もう少しで駅に到着するという頃、
「デザインが完成したらパソコンのアドレスにデータ送ってくれれば助かる。看板とかアーチの位置は、さっきお前が言ってたとおりに校長に伝えとくよ」
まるで私たちがついさっきまでキスしていたのは夢だったかのように、彼は冷静に言った。
「あっ、うん…」
「遠いとこ来てくれて本当ありがとな」
「ううん、大事なお仕事だし!瀬川くんの顔も見れて…良かった」
返事がなくて瀬川くんの顔を見ると、とても…とても切ない笑みを浮かべて運転している。
「…勝手で、ごめん。」
やっと瀬川くんの声が聞こえた頃には、駅に到着していた。
「送ってくれてありがとう。…また、会えるよね」
「ハハ、そうだな。また平野とかコウヘイたちと飲もうな」
どこかよそよそしい返事に頭がもやもやする。
「…データ出来上がったら、すぐに連絡するね」
私は瀬川くんと別れてもなかなか電車に乗り込むことが出来ず、1本見送ってから重い腰を上げて帰路についた。