不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第18章 拒絶
帰宅してからもフミとの会話はいつもどおり無い。
瀬川くんにも拒絶され、私は虚無の時間を数日間生きていた。
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まるで永遠のように長く、刹那のように短い時間が過ぎて2月になった。
瀬川くんの働く中学校での誘致イベントが数週間後に迫り、私は何度も修正してやっと出来上がったリーフレットのデザインデータを眺める。
”データのご確認をお願いします”…と堅い文章で瀬川くんのパソコン宛にメールを送ると、携帯のメッセージでも[ 今データ送ったよ]と送信した。
あの拒絶された日以来、久しぶりの連絡だ。
返事を待つ時間が何だか辛くて、私は紗奈に電話をかける。
ゆっくりと話をする前に、紗奈はランチに誘ってくれた。
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待ち合わせの時間よりも30分以上早く到着してしまった私は、マスターとの遅い新年の挨拶を交わすと特等席で紗奈を待つ。
前回アップルに来た時は同窓会の翌日で、私の心はどこか浮かれていた。
今は…---
----シャランッ…
「紗奈!ごめんね、突然電話して…」
「約束して電話するほうがおかしいでしょっ(笑)あぁ~お腹すいた!」
紗奈は随分と大きくなったお腹をさすりながら腰掛ける。
「お腹、大きくなったね~!予定日まであと…2ヶ月くらいかぁ」
「うん。最近、胎動が激しくて夜も眠れなかったり…ふぅ…お腹は空くのにたくさん食べられなかったり、胸焼けとか…もう、すんごいの。」
「わぉ…それは大変だね。なんか好きなの頼みなよ、あまったら私食べるし(笑)」
「え~?(笑)じゃあ、お言葉に甘えて…」
紗奈はメニューを見ると、ミートドリアと、ケーキを2つ注文した。