不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第18章 拒絶
「年末から一言も?!それは何だか…問題だね。」
「もう、離婚の話にもならないよ。お互いがそこに存在しないかのように生活してる。」
「…まぁフミさんとミライの事だからね。私は口出せないけど、まだまだ人生長いんだしさ。ゆっくり決めていけば?離婚…っていうのもひとつの道だとは思うよ。瀬川の事がなくってもね」
「うん…」
「イベントの事は仕事なんだから、瀬川の事とはしっかり線引して、きちんと最後までやった方がいいと思う。」
「…そうだよね。…うん。」
そうして私たちはミートドリアやケーキをシェアして食べた。
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紗奈と別れ帰路についた頃、携帯が鳴る。瀬川くんからだ。
[ ありがとう。確認して校長に見せておくよ。]
短い文章に、きゅうと胸が締め付けられる。
[ なにか問題があれば連絡してね。すぐに修正とかするから!]
他になにか言うことも出来ず、それだけ返信すると私はまた歩き出した。
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結局それからイベントの日が来ても、瀬川くんから連絡が来ることは無かった。
イベント当日に連絡するのも何だか…と遠慮してしまい、翌日になると知らない番号から着信があった。
「…はい、もしもし!」
「あぁ、わたくし三枝と申しますが・・・」
校長先生からだった。
イベントが無事に終わったことや、お褒めの言葉をいただく。
「本当にありがとうございました。私らはどうもパソコンなどはね…使いこなせなくて。まだまだアナログです(笑)また是非お願いします」
「いえ、そんな…。こちらこそ、またお役に立てることがあれば是非お手伝いさせて下さい!」
「頼もしいです。そういえば瀬川先生もかなり頑張ってくれましてね。イベントは大盛況でした。彼も疲れ果てていると思います。今頃ゆっくり身体を休めていると良いんですが…」
---…
瀬川くん、大丈夫かな。
校長先生との電話を終えると、私は携帯のメモリーを呼び出す。
しばらく画面を見つめ、やっぱりやめようか…ううん、やっぱりかけてみよう。そんな脳内での問答のあと、発信ボタンを押した。