不純異性交際(上) ―ミライと瀬川―
第19章 覚悟
あれからすぐに支度をして、電車に飛び乗った。
なかなか到着しない事にもどかしさを感じながら、ビュンビュンと流れ行く景色を見つめる。
今日、瀬川くんに会ってしまったら。
すべてが崩れるかもしれない。誰かに迷惑をかけるかもしれない。
間違いなく、私は瀬川くんに溺れてしまうだろう。
それでも…ーーーー
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やっと駅に着き、タクシーに乗り込むと瀬川くんから聞いていた住所を伝える。
ぽっかりと大きな口で待ち構えるトンネルに吸い込まれる頃、あたりはもう暗くなっていた。
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2階建てのアパートに沿って花が植えられている花壇が、オレンジ色のライトに照らされている。
少し古びてはいるが、きちんと掃除が行き届いている階段をあがる。
「203…」
ドキドキしながらインターホンを押すが、瀬川くんが出てくる気配はない。
どうしよう、もう一度押したらうるさいかな…。寝ているかもしれないし、とりあえずメッセージを送ろうか…?
立ち尽くしていると、やがて ”カチャ…” と鍵の開く音がした。
心臓がドキンと跳ねた次の瞬間、ドアがゆっくりとひらく。
そこには半袖のTシャツにジャージのズボンを履いた瀬川くんが佇んでいる。