
くるみの初恋、高校教師。
第19章 先生助けて…
「おいっ!!何やってんだ!!」
そんなくるみの異変に気付いた乗客が、犯人の手を掴んで叫んでくれた。
すぐにバスは止まり、しばらくして警察も駆け付けた。
犯人の男はその場で警察官に取り押さえられ、犯人を捕まえた男性と運転手さんが事情を説明した。
恐怖で体が震え涙を流すくるみは、別の婦警さんに付き添われベンチに座った。
「もう大丈夫よ。怖かったね。お名前教えてくれる?」
そう尋ねられるが、くるみは声を出すことができなかった。
「少し先の高校の子だよね?何年生?」
婦警もくるみの状況はわかっているが、本人の情報を聞かなければいけない。
くるみも答えようと思うのだが、恐怖のあまり声が出せない。
"先生……"
先生に会いたい。助けてほしい。
その一心でなんとか伝えようと、やっとの思いで鞄から生徒手帳を取り出した。
「た…担任の先生に…。」
消え入るような声で伝えると、婦警は生徒手帳に書かれた学校の番号に電話をかけた。
職員室では別の先生が電話を取ったが、その場で一ノ瀬先生にも伝えられ、すぐにくるみのもとへ駆けつけた。
