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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第7章 記者

「うわっ! ご、ごめんなさい」

驚いて、立ち上がる良夫。そして、小刻みに震えながら、金髪の男と夕子の方に顔を向ける。

(うわ、あの怖い茶髪の兄ちゃん怒ってるやん……)

お面の下の表情は、冷や汗が額を濡らし、青白い顔で、何度も生唾を飲んでいた。

(ヤバい……事故とはいえ、この人の上に落ちてしもた……あの鈴木さん、俺のせいで殺されるかもしれん……どうしよう)

なにも出来ず、怯えて突っ立っているだけの良夫だったが、金髪の男は、

(なんだあいつ……強いやないか。陽太が簡単に潰されるなんてよう)

良夫が仁王立ちになり、直視しているように見えた。

ニット帽の男は、陽太と言うらしい。

金髪の男は、夕子を運転席にいる男に押し付ける。

「この野郎、どうする茂夫くんよ」

「あのお面野郎もやっちまおう、てか、お前、本名呼ぶんじゃねぇ」

「悪かった、杉岡茂夫くん」

「本名フルネームで呼ぶなっつーの!」

夕子は、その名前をしっかりと覚えた。

良夫は、あまり目を見てはいけないと、弱々しく俯いた。

「あ……」

スニーカーの紐がほどけているのに気が付いた。

このままだと、上手く逃げることが出来ない。

「さっと、結んだ方がよさそうやな」

金髪の男はナイフを手に、こちらに飛びかかってきた。

下を向いていた良夫は、とりあえず紐を結ぼうとしゃがんだ。

「なにっ!」

金髪の男は、急にしゃがんだ良夫の体に足を取られ、飛び込むように前に倒れてしまう。

「うわっ!!」と良夫もを体勢を崩し、しゃがんだまま横になった。


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