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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

店の奥から、電気ポットのお湯が沸いた音がした。

「おばちゃん、ラーメンのラ王は頼んでないからな!」と良夫は一応、断りを入れた。

長谷川は、焼酎を飲み干すと、おばちゃんにおかわりと、焼きそばを注文し、胸ポケットから、携帯電話を出した。

「そういや、またお面姿のやつが活躍したらしいぞ。何者なんだろうな」

良夫は、お面姿でピクリと耳が傾いた。

「お面かぁ、まあ、ただのもの好きだろ」と自分で言いながら、情けない気持ちになった。

「おう、なんか東京で半グレの集団を一人で叩き潰したって、ほんまもんのヒーローやないか」

「東京? 俺、東京行ってへんで」

「はぁ? なに言ってんの?」

「なんでもない。気にしたらアカン」危うく、自分がお面姿の男だと言いそうになった。この東京に出たお面姿の男が、もっと話題になれば……と良夫は思った。

すると、店のおばちゃんが、テーブルに焼酎のお湯割りを持ってきた。

「はい、焼酎おかわり。それとゴメンなぁ。焼きそば、麺を切らしてもうてん。皿うどんでもええかな?」

「皿うどんでもええわ。てか、おばちゃん、あんたんとこ、なにが出来るのか、全部のレパートリーをメニューに書いておいてくれ。わからんわ」

長谷川が、そう言うと、おばちゃんは奥から電話帳ほどの分厚いメニュー表を、五冊運んできた。

長谷川は、テーブルに額をつけ、

「申し訳ありませんでしたーーっ!」

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