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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

クソ寒い日に冷製パスタを食わされた二人は、店を出て外の空気に体を震わせた。

長谷川は、「まったく、温かいものサービスしろよって。水なすとトマトの冷製パスタって、夏のメニューやんけ」と言って、青いダウンジャケットのファスナーを上まで閉める。

良夫は、「どっちにしろ、あのおばちゃんの凄みで震えが止まらんわ」とボンヤリと店の看板を見つめる。

「あの、おばちゃんも、いずれお面の人に成敗されまっせ」と長谷川が、笑う。

「お面かぁ」

良夫は話に出た、東京のお面の男のことを思い出した。興味は無かったが、なんとなく気にはなった。

長谷川と別れた良夫は、フラフラと歩いて帰路につく。

「田中さん」とどこからか、女性の声がした。

すると、目の前で一台の車が止まった。良夫にとっては、見覚えのある車だった。

運転席の窓から、鈴木夕子が、顔を出す。

「あぁ、記者ポッポの姉ちゃん」

「ポッポはいらないです。田中さん、ちょうどよかった。今から家に行こうと思ったんです。何度も電話したんですよ」

「電話?」

良夫は、ダウンジャケットのポケットから携帯電話を出した。

画面には、「6件の着信があります」と表示があり、すべて夕子からだった。

「あ、着信がいっぱい」

前回、会った時に、良夫は下心見え見えの番号交換をしていた。

「田中さん、ちょっと話が聞きたいから、乗って下さい」

「送ってくれるの?」

「送る前に取材させて下さい」

良夫は、助手席側に乗った。

広い車道に出て、ファミリーレストランの駐車場に入る。

「え、俺、飯くったよ」

「食事じゃありません。少しだけ駐車場をお借りするだけです」

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