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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

夕子は、携帯電話をバッグに入れた後、気になることを聞いてみた。

「お面は、持ち歩いてないんですか?」

「持ち歩かないよぅ、邪魔やし鬱陶しいし……」

「なにかあった時、どうやって変身するんですか?」

「なにがあるかとか、そんなん知らんて。あのお面、家に置いてても捨てても、勝手に手元にきて、顔に貼り付いたら、なんかトラブル起こるんや。ホンマやで」

夕子は、ふんふんと話を聞いている。内容は、ボイスレコーダーを使って録音していた。

「勝手に……ですか?」

半信半疑だが、思い返してみても、前回、良夫と初めて会った時、お面らしきものはなにも持っていなかった。

「あれは、呪いのお面なんや。だから、トラブルばっかり合わしよる」

話を聞いて、夕子はある憶測をたててみた。

「田中さん、ひょっとして……の話なんですが……、それって、事件やトラブルか起こるからこそ、お面がなんらかのかたちで田中さんの手元にくるんじゃないでしょうか?」

良夫は手を前に向けて、横に振る。

「あらへんあらへん、そんなことおまっかいな。こっちゃ、偉い目におうてまんねんで。もし、殺人犯かなんかおって、ピストルかなんか持ってたら、間違いなく死にますわ」

「でも、今まで傷一つ負ってないんでしょ? それに、全て解決してるじゃないですか」

「うん、まあ確かに……そうなのかなぁ」

お面をつけてる良夫自身、よくわかっていなかった。

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