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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

漠間は、そう言って涙を拭う。

三島くんは、グッと拳を握り締め、

「博士、わかります。私も直でポイ捨てを見た時、大変腹立たしい気持ちになりました。しかも、その横でお店の方が掃除をしているのにですよ。あの時、注意をする勇気が出なかった自分自身にも怒りを覚えました」

「三島くん、このクリーーーンは、そういった常識の無い者に対して、注意を促す機能もついておるんじゃよ」

「博士、素晴らしいです。しかし、これはどこに売るのですか?」

三島くんの質問に、漠間は一枚のチラシを見せた。

「三島くん、見たまえ。これは、町の美化運動を手がけるボランティア団体のチラシだ。こちらに、このロボットをまず貸し出そうと思う。そうすれば、このクリーーーンの性能を見て、歓喜の声がきっと上がるであろう。すると噂が噂を呼び、必ず役所の耳に入るはず。そして、ここから話題になれば、うちも欲しいという話が出るだろう」

「なるほど、そこからまた作って、売りに出すんですね。しかし、いくらで?」

「二十万で売ろうと思う」

「二十万ですか。コテ・メンドウジャに比べたら、かなり安いですが、大丈夫ですか?」

漠間は、壁にかけているホワイトボードに、太いペンを向けた。

「まず、ほとんどの材料は、粗大ゴミから集めてきた電気製品、頭部はなんでもいいんじゃ。別に無くてもよい。そうなれば、胴体と中身は無料で出来る。アームはゴミを掴めればよいわけて、百均にある玩具のマジックハンドでよい。これで、必要なのは、115円(この時代、消費税15%)、足りない部分は、買いに行けばよい、おそらく二万はかからんだろう。技術料と手間賃はサービスだ」

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