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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

「彼女って、あのなぁ」と良夫はボンヤリとした目で、夕子を探す。

階段の上で、笑いをこらえている夕子の姿をみつけた。どうやら、良夫と鈴の会話がツボに入ったようだ。

良夫は、手摺りに掴まりながら立ち上がると、

「あの、送ってくれてありがとうね。なんか迷惑かけたみたいで、堪忍してや」と夕子に声をかける。

すると……、

『ヴィーー』

どこからか、機械音がなった。

「なんの音?」と鈴が、お面を良夫に押し付け、階段を下りた。

その後ろから、夕子も下りてくる。

「あんらんまぁ~」

その光景を見た鈴は、驚きの声を上げた。

一階の真ん中の部屋の入口から、青くて四角い物体がゴトゴトと動いて出てくるのが見えた。

「なにあれ!?」夕子は、携帯電話を出し、カメラモードで撮影をはじめたい。

良夫は、顔にお面をかぶせたまま、項垂れていた。

「……うそやろ」

良夫は、顔についたお面を両手で押さえる。

叔母は、ついにお面に味方をしたのかと、半ば敵視しかけていたが、

「ん? あれ?」

スルッとお面ははずれた。

「え、あれ?」

今日は貼り付かない日なのか?

ホッとしつつ、目は涙で潤んでいた。

「よがっだぁ……よがっだぁ……正直、貼り付いた時、怖いんやぞ」

良夫は安心したのか、再び酔いが戻ってきた。まぶたが重くなり、ほろ酔い気分で心地よく眠りにつこうとする。

「田中さん! た・な・か・さん!」

夕子の声だ。

「はいっ!」

良夫の酔いがさめた。

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