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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

「あの、私、漠間発明研究所の代表、漠間五衛門と申します。いろいろと発明をして社会に貢献しようと、日々研究を重ねております。もし、なにかご要望がおありでしたら、連絡をいただけろれれば……」

最後のいいところで、噛んでしまった。

鈴は、左手に缶コーヒーを抱え、右手でその名刺を受け取ると、

「私、二階に住む田中良夫の叔母で黄木樹鈴と言います」と軽く会釈をした。

漠間は、すぐに名前を覚えた。

「黄木樹鈴さん、いいお名前ですな。この度は、本当に申し訳ない……心からお詫びいたします……あ、では失礼します」

そう言って、漠間は下りていった。

鈴は、手書きの名刺をくしゃりと丸め、

「コーヒー三本、飲んじゃお」と良夫の部屋に入っていった。


良夫は、アパートから10メートル先の住宅の前で倒れていた。

夕子は、車で良夫を追いかけていたが、良夫が電柱の陰にいたため、運悪く通り過ぎていた。

清掃作業用ロボットクリーーーンは、普通に、町中に捨てられたペットボトルや空き缶、タバコの吸い殻等を拾い集めていた。

正面から、奇抜なスタイルの若者ら三人が、くわえタバコでこちらに向かって歩いていた。

彼らは、クリーーーンを見付けると、なにかおかしなものがいるぞと、興味津々で近付いてきた。

一人が「なんだこれ? 鎧のやつのっけてやがる、ウケんなぁ」と頭の部分を、平手で叩きだした。

すると、クリーーーンは左手の掃除機のような腕を伸ばし、それぞれが手にしているタバコを、強い吸引力で吸い込んだ。

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