テキストサイズ

お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

良夫は立ち上がると、持っていたポケットティッシュで頭や顔を拭いた。

「あれ、またこの犬かよ……最悪やないかもぅ……」

リックはハッハッと舌を出しながら、スキップするように去っていった。

辺りをキョロキョロと見回す。

見覚えある道だ。だが、なぜ自分がここにいるのかがわからない。

「なにしてんだろ」

ポツリとそう言って、またフラフラと歩き出した。

しかも、アパートの方向へ……。


三島くんは、町の中をクリーーーンを探しながら彷徨っていた。

「どこ行ったんだよまったく……」

すぐに、見付かると思っていたため、そのままの姿で出て来てしまった。下は黒のスウェット、上は白いフリース、外の気温は10度で、かなり寒い。

前から、若い男性が三人ほど歩いてきた。

見た目が厳つく、声をかけるには躊躇いがあったが、一言聞くくらいなら大丈夫だろうと、

「すいませーん、鎧の兜をつけた、四輪で動くロボット見ませんでしたか?」と聞いてみた。

三人のうちの一人が前に出て、

「見たよ。なんだ、あれあんたのロボットか?」

「あ、そうです。クリーーーンと言って、掃除するロボットなんです。どこにいましたか?」

三島くんは、笑顔で尋ねる。

若い男は、三島くんに顔を寄せ、

「おい、あのロボットにな、すんげー迷惑かけられたんや」

「え?」

「俺たちのタバコ、ぶん取られたんだよ! どうしてくれんだよ!」

この三人は、クリーーーンに吸っているタバコを処分された者達だった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ