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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

夕子は、お面男に近付いた。

「すいません……あなたひょっとして、ケータイ地域ニュースの東京エリアで話題になってた、お面の方?」

「あんた、さっきそこの壁の隅で見ていた人だね。なにか用ですか?」

「え!! ……気付いてたんですか?」

夕子は、車を降りてから、近くを歩いている最中に若者のわめき声を聞き、三島くんがいるのを発見した。止めに入ろうとした時に現れたのが、お面男だった。

お面男は、夕子の存在に気付いはいたが、警察に連絡されないかどうかも気にしていた。

「あんなに視線飛ばして見ていれば、なんとなくわかるよ。てか、あまり立ち止まって話は出来ないな。なんで大阪はこんなに寒いんだよ。もう5月に入ってんだぜ」

お面男は、関西の異常気象を気にはしていなかったようだ。

夕子は、自分の財布から名刺を出し、

「すいません、私、記者をやってる者なんです。よかったらお話をうかがってもよろしいですか?」と聞くと、お面男は、

「暖かいところでなら、かまわない」と答えた。

「じゃあ、近くのお店で話をしましょうか?」

「て、ことは、俺はこの面を取らなきゃいけないじゃん。大丈夫かな」

「なぜ、お面をつけてるんです?」

夕子の質問に、お面男は、お面をつけるためにくくっていた紐を、ほどきはじめた。

「あまり、顔を知られたくないんだが」

街灯に薄く照らされたその顔を見て、夕子は驚いた。

「えっ……本当っ!?」



場所は変わって、良夫の部屋。

フラフラしながら戻ってきた良夫に、叔母の鈴が、漠間からいただいた缶コーヒーを渡す。

「良夫、いい加減にしなさい。飲むばかりでなく、ちゃんと食べてる?」

「食ってる。てか、そんな心配いらんわ」

「あんたが不摂生にしてないかどうか、心配なんやで。惣菜、冷蔵庫に入れておいたから食べなさいよ」

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