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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

その頃、夕子は、お面男を自分の車の助手席に乗せ、エンジンをかけた。

「この中なら、少しは寒さも凌げるんじゃないですか?」

「助かります。でも、見ず知らずの男を乗せて、大丈夫なんですか?」とお面男は、そこでゆっくりとお面を外した。

夕子はその顔を改めて見て、正体を確信した。

「やっぱりあなた、格闘家の山田二郎さんだったんですね」

「あ、やっぱりわかる?」

「わかりますよ。プロレスラーから総合格闘技に転身してチャンピオンになって、防衛戦3回した後、突然引退されたんですよね」

「すげぇ知られてるじゃねえか」

二郎は、右手で顔を隠す。

山田二郎、34歳。185センチ92キロ、単身でメキシコにルチャリブレを修行したのちプロデビュー。三年後日本に戻りプロレスリングTOKIOに入団、所属選手となる。プロレスのタイトルをいくつか獲得したのち、強さを追い求め、立ち技打撃とサブミッションを極めるため総合格闘技の道に進み、世界チャンピオンとなる。

「俺の説明だけで、まあまあの文字数を稼いだことだろう」

「なにを言ってるんですか?」

「いや、少々気が動転して意識がおかしな方向へ向いてしまった。こっちの話だ、申し訳ない」

「いえ……でも、どうして大阪にいるんですか? それも、お面なんかつけて……」

夕子の質問に、二郎は口元を押さえ、小さくため息をついた。

「話は少し長くなる。先にどれを聞きたい? お面の話か、それとも大阪に来た理由か?」

夕子は、ボイスレコーダーの電源を入れ、「ではまずは、お面のことを……」と聞いた。

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