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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

二郎は、ボイスレコーダーに気が付いた。

「それは、なんだ? ひょっとして俺を記事にしようとしてる?」

「許可をいただけます?」

「俺の正体を明かさなければ……てのもあるが、あんたにとってはこれがスクープになるのか? 格闘技チャンピオンまで上り詰めた男が、お面をつけて町のケンカ……」

「私はあなたに興味があって、ぜひ話をお聞きしたかった……でも、そうですよね、プロの格闘家が、素人に手を出すなんてわかったら、多くのバッシングを受けますし、大問題間違いないですから」

そう言うと、夕子はボイスレコーダーを切り、バッグの中へ戻した。

二郎はそれに納得し、自身の小さなカバンからサングラスを出すと、外を気にしながらコソコソとかける。

「あんたの言うように、お面はプロの格闘家とバレないために、顔を隠すためのものだ。まあ、プロレスの覆面でも良かったんだが、あれは、頭全体を締め付けるようで嫌なんだ。だから、このお面にした……」

そう言って、二郎は黒い狐のお面を指でなぞる。

「なぜ、大阪に来たんですか?」と夕子が聞く。

二郎は大きな体を縮め、チラりと夕子を見た。

「河原組(こうらぐみ)て、知ってるか?」

「かわはらって書いてこうらぐみって読む、関西の暴力団組織ですね」

夕子は、これまでの取材でその組織の事は熟知していた。

「そう、関東では兄弟組織の宗田組(そうだぐみ)てのが、あるんだが、その配下にある麻薬組織を探している」

「宗田組とか河原組って、かなり大きな組織じゃないですか」

「そう、その関東の宗田組の幹部一人を締め上げた時、その麻薬組織の大元が、関西の河原組にあることがわかったんだ」

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