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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

急に立ち止まる良夫に、夕子は、お面を手渡そうと車を降りる。

「田中さん、お面を忘れてましたよ」

「あ、あぁ……」

良夫は、消沈しきった様子でお面を受け取る。

夕子は、車を示し、

「あ、あの、あそこに座ってる男性は、東京で……」

「あ、うん、いいよ。邪魔はしないから」とお面を手に、去っていった。

「あ、ちょっと、田中さーん」と呼びかけると、後ろから、「彼の後を追うか」と二郎が降りてきた。そして、良夫の後ろ姿を目で追うと、

「大阪のお面男の姿を、生で見届けたいな」と言って、後をつけていった。

「あ、ちょっと待ってください」

夕子も車から荷物を取り、車に鍵をかけ、二郎の後を追った。

良夫はお面を手に、肩を落としながら少し賑やかな夜の町を歩いていく。

「やっぱり、相手の方いたんだなぁ。まあ、あれだけの人が彼氏おらんってわけはないわなぁ。ちょっと期待したんやけどなぁ……くそ、もう一回どこかで飲みなおそうかな」

思いっきり酔いたいと、どこで飲もうか店を探していると、前から一人のスーツ姿の中年男性が、「助けてくれーーっ!」とこちらに向かって走ってくる。

良夫は、「俺が助けてほしいわ」とその男性を見送ると、前から見覚えのある塊が走ってくる。

漠間博士作、清掃ロボット、クリーーーンだ。

「うわっ!」

良夫は避けようとするが、クリーーーンの腕が当たり、手に持っていたお面をはじいた。

お面は、期待通りに、良夫の顔に着地し、一体化となった。

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