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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

良夫は、地面に四つん這いになり、項垂れる。

「だろうな! だろうな! いい加減、こうなりそうな予想はしたわ! 見事に予想通りじゃねえか。競馬は、予想通りにならんけどよぅ!! チクショーがぁぁぁーーっ!」

アスファルトに向かって、思いを吐き出すだけ吐き出すと、開き直ったのか、お面の顔を隠すことなく立ち上がった。

「わかってんねん。時間が経ったら外れるんや。いいだろう、お面がその気なら立ち向かってやろうやないか」

良夫はやけクソで、歩き出した。

周りの目は、クリーーーンのお陰で良夫には集中しておらず、チラ見されても、ただの目立ったやつくらいにしか思われていなかった。

そこに、フラフラと汗だくになった三島くんが現れた。

「はぁ、はぁ、はぁ、待て……クリーーー……待て……」

息を切らし、今にも倒れそうになりながら、ロボットを追いかけていた。

良夫は、三島くんに気付く。

「あっ、ちょっと、あんた」

お面姿で声をかけると、三島くんは裏声で「ヒィッ」と発した。

「ヒィッじゃねぇ、あれ、あんたのところのロボットだろうが。いい加減、なんとかしいな」

「あ、あなた、いつぞやのお面の人……」

「いつぞややなく、ちょっと前に顔を合わせとるわ。てか、あれをなんとかしなはれ」

そう言われても、三島くんはお面の下の顔が良夫だとは知らない。しかも顔は知っていても、名前までは知らない。

三島くんは、Sの字で蛇行するクリーーーンを指差した。

「わかってますよ、でも……追いかけても……追い付かないんですよ……止めて下さい」

三島くんは間に大きな深呼吸を入れながら、良夫に頼み込む。



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