テキストサイズ

お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

クリーーーンは、ジリジリとほうきを持って近付いてくる。

良夫は、手招きしながら、半ばやけクソで

「来い来い、俺は手刀チャンバラで、世界一になった男やぞ」

そう言いつつ、心の中で手刀チャンバラとはなんぞやと自分に問いかける。

三島くんは、今がチャンスと背後から電源ボタンを探す。

良夫には、三島くんの様子が見えない。

「おい、電源ボタンは押したか?」と、声をかける。

三島くんは、弱々しく、「電源ボタンが……どこにもありません!」

「はぁぁぁーっ!? なんですってえぇぇぇーーっ!」

「探してるんですが、無いんですよぉ~」

三島くんは、クリーーーンがゆっくりと動いてる間にの胴体のあらゆるところを探ってみたが、どこにも電源ボタンらしきものが無い。

良夫は後ろ向きに、ゆっくりと下がる。

だが、わずかなアスファルトの段差にかかとを取られ、バランスを崩す。

「うわっ!」

体勢は整えたものの、うっかりコーヒーの空き缶を手放してしまった。

コロコロと転がる空き缶に、クリーーーンが反応した。

《ポイステハイケマセン》と空き缶の方へと向きを変えたのだ。

そして空き缶が止まると、ほうきを手放し、その手で空き缶を掴んだ。

良夫はチャンスとばかりにほうきを取り、

「俺の棒チャンバラの威力を受けてみろ!」と棒チャンバラとはなんぞやと、心で自分に問いながら、ほうきでクリーーーンの頭部を打つ。

クリーーーンの頭部は、西洋の甲冑の兜を、ただ取り付けただけの飾りだ。

すぐに外れ、ガランガランと大きな音をたて、転がった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ