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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

クリーーーンの、頭部が外れたところに、赤いボタンが見えた。

良夫はそれを見逃さなかった。

「そこっ! なんかボタンあるぞ!」

「ボタン!?」

三島くんは先にクリーーーンの頭を抱え、慌てて頭部があった場所を覗く。

「あっ、これだ」と三島くんはボタンを押した。

「やった!」と良夫もガッツポーズ。

だが、クリーーーンの動きは止まらず、背中にある、ハッチのような部分が開き、中から、押し潰された空き缶と、クチャクチャになった数本のペットボトルが出てきた。

三島くんは、愕然とし、

「あ、しまった……たぶんそこは内部に集まったゴミを出すのに、フタを開けるためのボタンだ」

「喜びもつかの間やないかい!」

良夫はまた、ほうきの先をクリーーーンに向ける。

「早く、こいつ引き付けてやっから、電源ボタン探しなはれ。ほらほら、来い来い来い!」

だが、クリーーーンは、

《ホウキハ、ソノヨウニツカウモノデハゴザイマセン。オチテイルゴミヤホコリヲハクモノデス》とまさかの、日用品の正論。

「あ、誠にその通りでございますわね……て、あんたも俺にほうきを向けてたやないかい」と良夫はほうきを下げる。

それを見て、三島くんは思った。

(ほうきを渡して掃除しろと言いたかったのか? 剣道をはじめるんじゃなかったのか? これは前のコテ・メンドウジャのデータがそのままになってたからじゃないぞ。僕の入力ミスから、落ちている物だけじゃなく、手に持ってる空き缶やタバコまでも捨てる対象として見て捉えてしまったから、それらも無理矢理回収して、奪われた人が驚いて逃げ回っただけ……ならわかる。でも、ほうきの使い方なんて入力したか?)

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