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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

二郎は、「やば……」とその場から二三歩下がるが、後ろには、項垂れる三島くんと酔いを思い出してぶっ倒れるお面の良夫がいた。

「しょうがねぇ、後はあんたらに任せる」と走り去った。

だが、走り去ったところで、すんなりと逃げられるはずもなく、そこにいたのはスクープを期待し、様子を見に来た夕子だ。

二郎は、夕子がいることに気付いていたが、知らぬ顔をして過ぎようとした。

「ちょっと待って、山田さん。あのままでいいんですか?」

案の定、夕子に声をかけられて立ち止まる二郎。

「おぉ、あんたか。俺はあの変なやつを食い止めただけ。後は持ち主のあのおっさんに任せようぜ」と最初からわかっていたが、あえて気付いたふりをする。

夕子は手に、望遠レンズ付きのデジカメを、夜間モードに設定して録画を撮っていた。すると、声を落として二郎に言った。

「ほら、あれ、警察が来て吹っ飛んだ男をとらえてますよ」

「は? いま、それ撮ってんの?」

「シーッ! 声が入るでしょ」

二郎は、二十メートルほど離れた先に倒れるクリーーーンと、バイクの奥に倒れている男を見る。確かに、警察の姿も確認出来る。二郎は、お面を外し、

「いや、あの警察は事故った男を介抱してんだよ。あのロボットは、うつぶせになって泣いてるおっさんのものだろ。なら、問題は全部、あいつの責任てことよ」

「いや、よく見たら手錠をかけてるわ。これは、私のスクープとして取り上げなきゃ」と夕子は目立たないように、移動した。

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