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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第8章 二人目のお面ウォーカー

一人の若い警察官が横になってガタガタと動いている、クリーーーンに目を向けた。

「これはなんだ?」としゃがんで、クリーーーンを調べはじめる。

夕子は良夫と三島くんの近くを通ると、三島くんの横に落ちていた、掃除機のノズルを拾った。

「上手く言っておきますから、これ、借りていきますね」

三島くんは涙声で、「どうぞ……」と言った。

夕子は警察官に近付く。

そして、クリーーーンのノズルを差し出し、

「すいませーん、これ、あの人が作った大型の掃除機なんです」と夕子は三島くんを指差した。

警察官は、「掃除機? これが?」と聞き返す。

夕子は、三島くんから借りた掃除機のノズルを示し、

「はい、あの人がおっしゃってました。これ、壊れたので始末するつもりが、この車輪のおかげで勝手に動いてしまったそうなんです」

「それが、バイクとぶつかった……て、ことですか? いや、我々としたら助かったようなもんですよ」

「どういうことです?」と夕子が尋ねる。

「このバイクを乗っていた男、ひったくりの窃盗犯でして、パトロール中に運良く見付けて追跡してたんですよ。あの男もパトカーが近くにいるのも気付かずに堂々とひったくっていくなんて……」

警察官は苦笑いで、そう話す。

「そうなんですか!?」

夕子は、アスファルトの上で大の字で天を仰ぐ良夫を見た。

良夫の顔から、お面が外れ、耳元に引っ掛かっていた。



三島くんは、夕子から事情を聞かされた後、警察から事情聴取と、充分な注意を受け、何度も涙ながら謝罪を繰り返していた。

二郎は、夕子に、メモ用紙のようなものを渡した。

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