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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第9章 勝重からのプレゼント

店内を見回していた妻が、夫の服の裾を引っ張る。

「ねぇ、あれなんてどう?」

勝重は顔を向ける。

「おっ!」

喜びの声を上げ、目を光らせた。

大きな木製の置物の陰に、目立たないように壁に掛けられたお面があった。

白地に赤や黄色等の色鮮やかな模様を施した、鬼に似た、邪神のようなお面だった。目はギョロリと何かを見据え、口には牙があり、大きく開いている。

「あれだ……」

見た目からして、インドネシアにありそうな香りがしてくる。

だが、妻は不安げな表情を浮かべる。

「あれって、高いんじゃないの? うん十万とかしたらどうすんの?」

「とりあえず、聞くだけ聞いてみよう」

勝重は、居眠りしている白いセーターを着た、薄らハゲの店主に、尋ねてみた。

「すいません、ここにあるお面……おいくらでしょう?」

店主は、ぼんやりとした目つきでメガネを取り、壁にかけてあるお面を見た。

「あ、あれは売り物じゃあないんだわ。ただの飾りじゃて」

「あ、そうなんですか」

勝重は、ホッとした反面、残念な気持ちもあった。

諦めて店を出ようとした時、店主が言った。

「あれはちょっと前、店の前に落ちていたのを、拾って飾っただけだ。欲しかったらただでいいから、持っていくかい?」

「えっ!」

勝重は振り返り、言葉無しで頭をたてに振った。

「なら、これをあんたにあげる。だから、なんでもいいから、うちの品を一つ買ってくんな」

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