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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第3章 ケータイ地域ニュース速報。

良夫は、お面を上着の下から出した。

「厄除けとか幸せが来るとか言うてたが、なに勝手に俺が不幸だって決めつけてんだよ。てめえが結婚したら、周りの独身者が不幸に見えるんかい」

お面をくれた勝重に、勝手な解釈をしつつ、良夫は自動販売機の前にあるテーブルに、お面をソッと置いた。

「まあ、ここに置いてたら誰か拾うやろ」

そう言って、会社の中に入っていった。

二階のロッカールームに入ると、数人の社員が作業服に着替えている。

「おぅ~っす」と良夫が声をかけると、同僚の40代の長谷川という男性が近付いてきた。

「ちょっと田中さん、あんた来るとき電車大丈夫だった?」

「ん? 別に普通やったけど」

「あのな、携帯の地域ニュース速報ってのがあるんやけど、十分前のがもう流れてるんよ」

「なにがあったん?」

良夫は聞きながら、自分のロッカーを開け、作業服を扉にかける。

「JR〇〇線て、あんたが乗ってくる電車やろ? なんか、スリが捕まったんやて」

「スリ? ほぅ」

「被害者のサラリーマン男性が車内で座って寝てる時、横にいた男がスーツのポケットに手を入れて財布を抜き出そうとしてたんやて」

「へぇ~、でもようスリがいてるってわかったなぁ」

「いや、なんかな、その被害者の人の反対側にいた男性が、肘で突いて自分をおこしてくれたからわかったって言うてるよ。まさか、あんたとちゃうん?」

「どっち? スリ側か警察側か?」



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