お面ウォーカー(大人ノベル版)
第11章 記者誘拐事件
良夫が案内したのは、場内にある食堂だった。
窓ガラスもなく、外の壁に無雑作に貼られたメニューが風でヒラヒラとなびく。
カラカラとガラス戸を開けると、フワッと出汁の強い香りが全身を包み込む。
夕子は、躊躇しつつ店内に足を入れる。客はほとんどが中高年男性で、失礼だが、お世辞にも小綺麗な方々とは言えなかった。
テーブルとミドリの丸椅子、竹筒に立てられた割り箸に、調味料の小瓶。いかにも昭和スタイルの食堂といった雰囲気に、令和生まれの夕子は、戸惑うばかり。
「こんな食堂があったんですね」と言って、夕子は目を丸くする。
「ここ、知らなかった?」
「初めてです」
「注文は券売機やけどな。はいはい、こちらです」
「なにがあるんですか?」と夕子は財布を出す。
「焼きそば定食で、たのんます」
「焼きそばですか……」
券売機に真ん中にある、雑誌サイズのタッチパネルを指で操作する。
定食メニューと記された赤い枠を押すと、数種類のメニューの写真が出てきた。
「焼きそば定食ありました。えっ! 550円!」
焼きそば定食は、焼きそばに白ごはん、味噌汁に、お漬けものがついている。夕子は、値段の安さを見て驚いた。
良夫は満面の笑みを浮かべ、「安いやろ。あと、ビールがあったら最高なんやけどなぁ~」
「わかりました。ビールもご馳走しますよ。私は豚肉の生姜焼き定食……それでも580円」
「食券買ったら、向こうのカウンターに持っていって券を渡したらええ。そしたら番号札をくれるから、番号を呼ばれたら取りにいくシステムや」
窓ガラスもなく、外の壁に無雑作に貼られたメニューが風でヒラヒラとなびく。
カラカラとガラス戸を開けると、フワッと出汁の強い香りが全身を包み込む。
夕子は、躊躇しつつ店内に足を入れる。客はほとんどが中高年男性で、失礼だが、お世辞にも小綺麗な方々とは言えなかった。
テーブルとミドリの丸椅子、竹筒に立てられた割り箸に、調味料の小瓶。いかにも昭和スタイルの食堂といった雰囲気に、令和生まれの夕子は、戸惑うばかり。
「こんな食堂があったんですね」と言って、夕子は目を丸くする。
「ここ、知らなかった?」
「初めてです」
「注文は券売機やけどな。はいはい、こちらです」
「なにがあるんですか?」と夕子は財布を出す。
「焼きそば定食で、たのんます」
「焼きそばですか……」
券売機に真ん中にある、雑誌サイズのタッチパネルを指で操作する。
定食メニューと記された赤い枠を押すと、数種類のメニューの写真が出てきた。
「焼きそば定食ありました。えっ! 550円!」
焼きそば定食は、焼きそばに白ごはん、味噌汁に、お漬けものがついている。夕子は、値段の安さを見て驚いた。
良夫は満面の笑みを浮かべ、「安いやろ。あと、ビールがあったら最高なんやけどなぁ~」
「わかりました。ビールもご馳走しますよ。私は豚肉の生姜焼き定食……それでも580円」
「食券買ったら、向こうのカウンターに持っていって券を渡したらええ。そしたら番号札をくれるから、番号を呼ばれたら取りにいくシステムや」