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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第11章 記者誘拐事件

券売機取り出し口から、三枚の券を出し、それを調理場のカウンターに持っていくと、白い割烹着の中年女性が、「焼きそば定、生姜定ワン、麦ワン」と言って、番号札を夕子に渡した。

夕子は番号札を手に、良夫がいるテーブルにもどった。

改めて番号札を見て、「番号……え、1876番!? お昼までで?」と夕子は驚く。

「むっちゃ流行ってるなぁ。でも、ここは早いで」

「早いと言っても定食二つとビールですよ」

すると調理場から、

「番号札1876番をお持ちの方、出来上がりましたら、お教えいたします」

夕子は立ち上がりかけた。

「ビックリした! もう出来たかと思ったじゃない」

「さすがにそこまで早くないわ。あ、水とお茶はセルフやし、この寒さやから温かいお茶入れてきたで」

良夫は気をきかせ、テーブルの上の湯呑みを示した。

夕子は「あ、ありがとうございます」と湯呑みを取ると、中は空だ。

「それは俺がもう飲んだやつや。君のはこっち」

だったら、中央に二つ並べるなと夕子は思った。

良夫は、落ち着いてテーブルに右肘を立てる。

「そやけど夕子さん、あんた競馬は好きなん? こんな場所で会うてビックリしたわ」

「違います。たまたまです。実はある情報を聞きつけて、ここに来たんです」

「情報って?」

「ここでは、そんなハッキリ言えませんよ」

「なんか、聞かれたらヤバいんか?」

「知られたら、身の危険もあります」


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