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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第3章 ケータイ地域ニュース速報。

本社の横に工場があり、動線としての廊下を抜けると、工場に移動できる。

工場側の出入口を利用すれば、会社の裏口に移動でき、そこから近くの病院に行ける。

社員は食事に出ているのか、誰もいない。

小走りで進むと、先ほど風呂場から見えたドラム缶横を過ぎる。

すると……、

ゴツッという硬いモノがぶつかる音と同時に、

「がぁっ!」

どこからか、男性の悲鳴のような声がした。

「えっ?」驚いた良夫は、思わず立ち止まる。

だが、止まっている場合ではないと、再び走り出す。今すぐ、このいまいましいお面をなんとかはずしたい。

省エネのため、照明が切られた工場の中を走ると、なにやら顔がスースーする。

「ん?」

また立ち止まると、顔の周りがグラっと揺れた。思わず下を向くと、お面がカランと音をたて地面に落ちた。

「えっ!」

はずれた。

良夫は、茫然と落ちたお面を眺めている。

外れて安心はしたものの、なにがどうなったのか理解が出来ないまま、お面を拾う。

裏を向け、お面の縁を指で触れる。

くっつくのには、なにか粘着物がお面から滲み出ているのではないかと、慎重に確かめてみる。

すると……、

「誰かぁーーっ!!」

事務の女性の叫びが聞こえる。

工場の中で、静かに弁当を食べていた長谷川が、立ち上がる。

「なんや、なんかあったんか?」

良夫は、長谷川がいたことに一度驚くも、すぐに冷静になり、

「工場の外からやな」と足を向けた。

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