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お面ウォーカー(大人ノベル版)

第4章 逃げられねぇ

普通に捨てたら、また誰かが拾ってくる可能性がある。

近所の川に流してやろうか……て、それは人としてどうだろう?

こうなったら、ずっとロッカーに入れっぱなしがいい。ただ、入れっぱなしにするのではない。

良夫は、工場から古新聞を集めてきた。

台の上に新聞紙を一枚広げ、その上にお面を置いた。

新聞紙を端から折り、お面を包み込む。

そして、その上からもう一枚、さらにもう一枚と重ねて包んでいく。

最後はガムテープでグルグルに巻いた。

「これで大丈夫」

このままロッカーに入れておけば、大丈夫。勝ち誇った顔で、ロッカールームまでの階段を上がる。

それと同時に、その上から、事務の中年女性が下りてきた。

「あら、田中さん」と女性は声をかける。

「あ、お疲れさまです」

「いやぁ、探してたのよぉ~」

「へ? 僕を?」

良夫は、自分に指を差すと、女性は頷いた。

「え、なんの用ですか?」

「あの田中さん、2カ月前にロッカーの鍵の調子が悪いって言うてはりましたね」

「はい、言いました。鍵が固いんすよ」

「明日の朝、新しいロッカーが入りますので、中の物を持って帰ってほしいんですよ」

「はぁ!? 明日の朝!?」

「言うてくれたら、荷物を入れる袋がありますから、よかったら事務室に来てくださいね」

そう言い残すと、スキップをするように階段を下りていった。

「え……最悪じゃん」

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