お面ウォーカー(大人ノベル版)
第4章 逃げられねぇ
急いでロッカールームに戻り、作業服一式と、置き傘、競馬用の携帯ラジオを出した。持ち帰り用にロッカーに入れておいたエコバッグに、荷物を詰める。
なにやら浴室から、『ビタンビタンビタンビタン』と音がする。
なんの音かと、良夫は、浴室の扉を開けた。
中で、定年間近の男性が、腰に手を当てて下半身を激しく振っている。
「ちょっと、自分のイチモツを上下に振って打楽器のように鳴らすのはやめくださいよ」
「おお、田中くん、まだおったんかいな」
「定年(さだとし)さんがそれをやると、真似したくなって家で一人でやってしまうんすよ」
紹介が遅れたが、定年間近の男性であり、定年間近(さだとし かんきん)という名の男だ。
「おお、すまんな。さっき排水溝に小便したから、残尿を振り散らし︎てたんじゃ」
「汚ぇな! 後で残業の人も入るんすよ!
よかった、今日入らなくて…… 」
「なんや、今日は風呂入って帰らんのか?」
「いや、用事あるんすよ。てか、小便散らされたあとの風呂に入りたくないっすわ。定年さん帰りますよ」
そう言って、扉を閉めた。しばらくすると再び……、
『ビタンビタンビタンビタン』
どうやら、癖になったようだ。
良夫は、止めることなくロッカールームを後にした。
雨は降っていないのに傘を持ち、肩からエコバッグをさげ、その中に携帯ラジオと作業服、でかいサングラス、そして新聞紙に包まれたお面を入れている。
「まあ、新聞紙から出さなきゃいいか」
本当は持ち帰りたくはなかったが、ロッカーを交換をするのならしかたがない。
素直に従うしかない。
なにやら浴室から、『ビタンビタンビタンビタン』と音がする。
なんの音かと、良夫は、浴室の扉を開けた。
中で、定年間近の男性が、腰に手を当てて下半身を激しく振っている。
「ちょっと、自分のイチモツを上下に振って打楽器のように鳴らすのはやめくださいよ」
「おお、田中くん、まだおったんかいな」
「定年(さだとし)さんがそれをやると、真似したくなって家で一人でやってしまうんすよ」
紹介が遅れたが、定年間近の男性であり、定年間近(さだとし かんきん)という名の男だ。
「おお、すまんな。さっき排水溝に小便したから、残尿を振り散らし︎てたんじゃ」
「汚ぇな! 後で残業の人も入るんすよ!
よかった、今日入らなくて…… 」
「なんや、今日は風呂入って帰らんのか?」
「いや、用事あるんすよ。てか、小便散らされたあとの風呂に入りたくないっすわ。定年さん帰りますよ」
そう言って、扉を閉めた。しばらくすると再び……、
『ビタンビタンビタンビタン』
どうやら、癖になったようだ。
良夫は、止めることなくロッカールームを後にした。
雨は降っていないのに傘を持ち、肩からエコバッグをさげ、その中に携帯ラジオと作業服、でかいサングラス、そして新聞紙に包まれたお面を入れている。
「まあ、新聞紙から出さなきゃいいか」
本当は持ち帰りたくはなかったが、ロッカーを交換をするのならしかたがない。
素直に従うしかない。